2024年4月13日土曜日

構造フレームがトリムされる位置は?

構造フレームの端部

構造フレームの端部が他の構造フレームや構造柱と結合すると、接合部がカットバックされます。


この距離はインスタンスパラメータ"始端の接合部カットバック"および"終端の接合部カットバック"で設定できます。


このカットバック距離の基準となる位置は、一般的には境界ボックス(ジオメトリの最外形ボックス)ですが、任意の参照面に変更することもできます。

  1. ビューの詳細レベルを標準または詳細にする
  2. 構造フレームを選択し、修正|構造フレームタブ>接合ツール>参照を変更
    このとき表示される青色の破線が境界ボックスです。

  3. 柱のウエブの面をクリックすると、

  4. 接合部カットバックの基準が柱のウエブ面に変更されます。

境界ボックスを規定する要素

境界ボックスは要素を囲むボックスですが、その範囲には
  • シンボル線分
  • 参照線(弱参照と強参照)
が含まれるので注意が必要です。例えば鉄骨柱の周囲に耐火被覆の線をシンボル線分で作成すると
シンボル線分で耐火被覆

境界ボックスの範囲にはこのシンボル線分まで含まれます。
シンボル線分も境界ボックスに含まれる
接続する構造フレームの端部は境界ボックスでトリムされることになりますので、シンボル線分を構造柱や構造フレームに設定するときは注意が必要です。

参照変更の使用条件

構造フレームが他の構造要素と接合するときは、いったんは境界ボックスでトリムされますが、参照の変更を使うことでカットバックの基準位置を変更することができます。
参照を変更
参照変更ツールが使用できない場合は
  • ビューの詳細レベルが簡略ではないこと
  • 要素が接合されていること
  • 要素はコンクリートではないこと
  • 要素が直線であること
を確認してください。

2024年4月6日土曜日

下がり天井~仕上2枚

岩綿吸音板の折り上げ天井

下がり天井のモデリングについては、ずいぶん前のトピックで触れたのですが、GB9.5+岩綿吸音板6のような2つのレイヤの壁と天井の作り方について考えてみます。

天井と壁の結合について考察

それぞれのレイヤ構成は次の図の通りです。岩綿吸音板を仕上2[5]、GB9.5を仕上1[4]としています。

天井

天井のレイヤ

壁のレイヤ
垂れ壁と天井を前回の手法で結合すると次のようになってしまい、GBと岩綿吸音板の包絡がうまくいきません。
仕上1、2のレイヤの結合がいまひとつ

レイヤのロックを解除する

そこで、壁の仕上1,2のレイヤ下部のロックを解除します。
  1. 壁を選択してタイプ編集
  2. 構成の編集ボタンを押してアセンブリを編集ダイアログボックスを表示
  3. プレビューボタンをクリックしてプレビューを表示
  4. ビュー(V)を[断面図:タイプ属性を修正]を選択し、壁の下部を拡大
  5. 修正をクリックし、仕上2のレイヤ下部をクリック、表示された鍵マークをクリックしてロックを解除
  6. 同様に仕上1のレイヤのロックも解除
    隣り合う二つのレイヤのロックを解除

  7. OKを2回押す
断面図で垂れ壁を選択すると、下側に▼が二つ表示されます。
垂れ壁下側に▼(ハンドル)が表示される

仕上側のハンドルを天井の岩綿吸音板レイヤの上(GBレイヤの下)に合わせる、または垂れ壁の"基準高さからのオフセット"の値を-12.5(GBの厚さ)に設定するときれいに結合します。

仕上下地レイヤが3枚になるとこの方法も使えなくなってしまいますが、大多数の天井では通用するはずです。


レイヤのロック解除について

レイヤのロックを解除するとあたかもそれぞれのレイヤの上下の高さを自由に設定できて便利そうですが、実際には各レイヤを自由に高さ変更できるわけではありません。レイヤのロック解除には制限があり

ロック解除するレイヤは隣り合っていなければならない

という大原則があります。結論から言うと異なる高さは1種類のみ設定できる、ということです。

例えば、LGSの両面にGB12.5を張った壁の、外側と内側のGBの高さをそれぞれ異なる値に設定しようとしてもできません。

アセンブリ編集ダイアログを開き、内外のGBのレイヤ上部をロック解除すると

両側のレイヤのロックを解除しても…

OKを押しても次のような警告が表示されます。

警告が表示される
つまるところ、壁の各レイヤに設定できる高さは2種類だけ、ということです。

2024年3月31日日曜日

複数の条件付き書式

条件付き書式の基本

集計表の条件付き書式は、ある条件に合致したセルを色付けする機能です。例えば、次のような構造フレームの集計表があって、

構造フレームの集計表を作成

始端レベルオフセットが0でない場合に、A列に色を付けるとすると、書式でA列の条件付き書式をクリックし

書式>条件付き書式をクリック

条件と色を設定します。

設定した条件に従って、A列(ファミリとタイプ)の列に書式が設定されます。
セルが書式設定(着色)される

複数の条件を設定する

条件付き書式ダイアログボックスの「使用する条件」には複数の条件を設定することができます。

条件グループのフィールドドロップダウンリストから始端レベルオフセットではないフィールド、例えば長さを選択し、テストにより大きいを選択すると2行目の条件を設定することができます。

複数の条件を設定

この条件はAND条件で、上記の設定だと、「始端レベルオフセットが0ではなく、長さが10000を超える要素」を書式設定します。


OR条件は?

条件付き書式の複数条件はAND(且つ)しか提供されていないので、ORの場合は計算フィールドを追加して判別式を追加します。たとえば、

  1. 始端レベル オフセットが0ではない
  2. 終端レベル オフセットが0ではない
  3. 長さが6000以上

の三つの条件のいずれか一つを満たすセルを色付けするとすれば、合致したときにTRUE(はい)を返すには

  1. not(始端レベル オフセット=0)
  2. not(終端レベル オフセット=0)
  3. not(長さ<6000)

の三つの式をorで結ぶ計算式フィールドを追加します。式には以上、以下の記号はありませんので、<>とnotを組み合わせて、「以上」を表現します。三つをORでつなぐと

or(not(始端レベル オフセット = 0 mm), or(not(終端レベル オフセット = 0 mm), not(長さ < 6000 mm)))

3つの条件をORで判定
そしてこのフィールドを使って、条件付き書式を設定します。
条件付き書式
これで、フィールドが書式設定されます。
OR条件を使って書式設定

2024年3月23日土曜日

部屋の面積・容積の認識

部屋の面積はレベルで決まる?

部屋を配置すると周長・面積。容積が計算されます。これらの値はどのように計算されるのか考察してみましょう。

レベルのプロパティに注目

部屋の面積はレベルのインスタンスプロパティ「算定高さ」で部屋の領域を決定します。

レベルのインスタンスプロパティ「算定高さ」

なぜ算定高さというパラメータがあるのかは、次のような傾いた壁がある部屋を考えてみるとわかりやすいです。壁が傾いていると、高さによって部屋の周長や面積が異なります。
傾いた壁を持つ部屋

容積の計算を面積と容積、部屋面積の計算を壁の仕上面に設定します。


レベル1の算定高さの値を500に設定した場合は、部屋の周長・面積・容積はレベル1+500の位置で計測されます。

部屋を選択したときに表示される破線の位置が算定高さを示している

レベル1の算定高さを1200に設定した場合は、部屋の周長・面積・容積はレベル1+1200の位置で計測されます。
レベルの算定高さの値に応じて部屋の認識範囲が変わる

部屋が置けない!?

この算定高さは初期値では0に設定されていることが多いので注意が必要です。たとえば、算定高さが0で、レベル+100の位置に床がある場合、
レベル1算定高さ=0,床FL+100
平面図で部屋を配置しようとしても、配置することができません。
平面図で部屋が配置できない?
レベル1の算定高さが0で床がレベル1+100のため、算定高さが床の中に埋まってしまっている状態となり、境界として認識できる壁が見つからない状態になっています。
レベルの算定高さプロパティの値は1200程度に設定しておくのがよいでしょう。

2024年3月10日日曜日

ファミリの切断表示

切断できるカテゴリが増えた!

2023で次のカテゴリが切り取り可能になりました。

  • 家具
  • 家具システム
  • 特殊設備
  • 衛生器具

のカテゴリです。これらのカテゴリのファミリを作成する際には、ファミリエディタのファミリパラメータ「ビューでの切り取りを有効化」をチェックすることで、切り取り表示(断面表示)が可能になります。チェックしなければ今まで通りの表示となり、切り取りは表示されません。

ビューの切り取りを有効化

切断された位置で表示

ファミリパラメータ「ビューの切り取りを有効化」に✔を入れたファミリのフォームは、ビューの切断位置で切断した状態で表示されます。基本的には一般モデルカテゴリのファミリと同じ振る舞いとなります。例えば、次のような四角と丸をブレンドしたファミリ(高さ2000mm)を作成すると、

家具カテゴリでビューの切り取りを有効化に✔

FL+500では(投影は青、断面は赤)

FL+500

FL+1200では

FL+1200

FL+2100では

FL+2100

となり、ビューの切断位置が変われば表示もそれに応じて変化します。

切った位置で表示されるのは当たり前ではない

ビューの切断位置でファミリが切断されて表示されるという振る舞いは当たり前のように見えますが、いくつかのカテゴリにおいては当たり前ではありません。

例えば、上記ファミリのカテゴリを造作工事にしてみます。造作工事はもちろん切り取り可能なのですが、、、、

FL+500では

造作工事 FL+500

FL+1200では

造作工事 FL+1200

と、いうように平面図においては切断されているときは、いつでも同じ表示になります。いくつかのレガシーなカテゴリ(窓・ドアなど)においては、このような表示表現上の工夫がなされています。この表示は、ファミリエディタの平面図の参照レベルビューの表示と同じになります。

ファミリエディタの平面図>参照レベルビュー
参照レベルビューのビュー範囲を変更して、プロジェクトにロードすればその時の表示となります。複数の平面ビューがあるときは最後にアクティブにしたビューの表示が採用されます。

ファミリエディタの平面図の表示を「ファミリプレカット」といいますが、「平面図にファミリプレカットを表示」というファミリパラメータを使って、表示をコントロールできるカテゴリもあります。例えば柱カテゴリのファミリプロパティにはこのプロパティがあります。

平面図にファミリプレカットを表示

平面図にファミリプレカットを表示のファミリプロパティは主に構造系のカテゴリにみられます。

このようにファミリには「切った位置で素直に表示するカテゴリ」と「ファミリプレカットを表示するカテゴリ」の二種類が存在するので、ファミリを作成する際には選択したカテゴリが
  • 切り取り可能か?
  • ファミリプレカットを表示するか否か?
を見極めるようにしてください。

2024年3月2日土曜日

共有パラメータのグループ変更

グループを変更できない?

プロジェクトにロードされているファミリの共有パラメータのグループを変更したい時、


文字グループの共有パラメータ1のグループを変更したい

そのファミリを編集してパラメータのグループを変更してプロジェクトに再ロードしても、

ファミリエディタで、グループを変更して再ロードしても・・・

プロジェクトではパラメータのグループは変更されません。

プロジェクトではグループは変更されません

変更方法

プロジェクトにおいて、ファミリ由来の共有パラメータのグループを変更するには、集計表を利用します。

  1. 表示タブ>作成パネル>修正▼>集計表/数量
  2. 新しい集計表ダイアログボックスで、カテゴリで当該カテゴリを選択し[OK]
  3. 集計表プロパティダイアログボックスのフィールドタブの[使用可のウファフィールド]リストで、目的のパラメータを選択し、パラメータを編集ボタンをクリック
    グループを変更したパラメータを選択して編集ボタンをクリック

  4. パラメータプロパティダイアログボックスで、パラメータグループを変更してOK
    パラメータグループを変更

  5. フィールドに任意のパラメータを追加してOK。キャンセルすると変更が反映されません。
  6. プロジェクトでパラメータグループが変更されたことを確認します。
    パラメータグループが変更された!